実家じまい・空き家

家財が残ったままの空き家を売る方法|買取・片付けて仲介・査定先行の3ルート比較

遺品や家財が残ったまま(残置物あり)の空き家を売る3つのルートを、急いで手放したい・高く売りたい・遠方で動けないの3ケース別に比較。撤去費用の交渉での扱いも解説します。

しまいごとノート編集部 更新:
家具や日用品が残されたままの実家の和室に日が差し込んでいる様子

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目次
  1. 家財が残ったままでも空き家は売れる。ただし選ぶルートで手取りが変わる
  2. どのルートを選ぶ場合も、貴重品と権利証の捜索だけは先に
  3. ケース1:とにかく急いで手放したい ── 現状のまま買取
  4. ケース2:時間をかけても高く売りたい ── 片付けてから仲介
  5. ケース3:遠方で動けない ── 査定だけ先に受けて方針を決める
  6. 残置物の撤去費用は、価格交渉でこう扱われる
  7. 迷ったら「査定先行」から始めるのが失敗しにくい

家財が残ったままでも空き家は売れる。ただし選ぶルートで手取りが変わる

親の家をそのまま引き継いだとき、多くの人が最初につまずくのが「この大量の家財、全部片付けないと売れないのでは」という思い込みです。実際には、家財・遺品が残ったまま(不動産業界では「残置物あり」と呼びます)の状態でも、売却の相談や査定は問題なく依頼できますし、残置物込みで買い取ってくれる買主も存在します。

ただし、どのルートを選ぶかで「手元に残るお金」「かかる手間」「売れるまでの期間」は大きく変わります。選択肢は大きく次の3つです。

  1. 現状のまま買取。不動産会社などの買取業者に、残置物ごと引き取ってもらう
  2. 片付けてから仲介。家財を撤去し、不動産会社の仲介で一般の買主に売る
  3. 査定だけ先に受ける。現状のまま複数社の査定を受け、結果を見てから片付けの範囲と売り方を決める

どれが正解かは物件の状態や事情によって異なります。ここでは「急いで手放したい」「高く売りたい」「遠方で動けない」という代表的な3つのケースに分けて、向いているルートを整理します。

どのルートを選ぶ場合も、貴重品と権利証の捜索だけは先に

ルート選びの前に、ひとつだけ順番を動かせない作業があります。家の中に残っている貴重品・重要書類の捜索です。

  • 登記済権利証または登記識別情報通知、実印・印鑑登録カード
  • 預金通帳・証書、保険証券、有価証券関連の書類
  • 現金、貴金属、骨董品など換価性のあるもの
  • 固定資産税の納税通知書、境界確認書などの不動産関係書類

権利証がなくても売却自体は司法書士の本人確認手続きなどで対応できるとされていますが、追加の費用と時間がかかります。また、残置物ごと買取に出したり片付け業者に一括処分を頼んだりした後で「通帳や権利証が家財に紛れていた」と気づいても取り返しがつきません。タンスの引き出し、仏壇まわり、天袋、鏡台の奥は、処分の前に必ず家族の手で確認しておきましょう。

なお、状態のよい着物・カメラ・貴金属などは処分ではなく買取に回せる場合があります。捜索と並行して遺品の一括査定・買取の使い方を確認しておくと、片付け費用の一部を回収できる可能性があります。

ケース1:とにかく急いで手放したい ── 現状のまま買取

固定資産税の負担が続いている、遠からず特定空家の指導が入りそう、相続人間で早く現金化して分けたい。こうした事情でスピードを優先するなら、残置物込みの買取が有力です。

買取のメリットは、片付け・修繕・内覧対応がほぼ不要で、条件が合えば数週間程度で引き渡しまで進められる点にあります。買取業者は残置物の撤去費用や再販時のリフォーム費用を見込んだうえで価格を提示するため、仲介で売る場合の相場より2〜3割程度低くなるのが一般的な傾向です(この割合は2026年7月時点の一般的な目安で、物件や地域により大きく異なります。実際の条件は各社への査定でご確認ください)。

注意したいのは、買取価格の内訳が見えにくいことです。「残置物撤去費用として◯十万円を差し引いた」と説明されても、その金額が妥当かどうかは1社だけでは判断できません。買取を選ぶ場合でも、必ず複数社に声をかけて提示額と差し引きの根拠を比較しましょう。それが安く買い叩かれないための最低限の防御になります。

ケース2:時間をかけても高く売りたい ── 片付けてから仲介

売却額を優先できる事情(住宅ローン完済後の実家で急ぐ理由がない、駅近など需要のある立地)があるなら、家財を撤去してから仲介で売るルートが基本線です。

一般の買主は「前の住人の生活の跡が残った家」を敬遠しがちで、残置物があると内覧の印象が下がり、値引き交渉の口実にもなります。片付け費用を先に投じても、空にした状態で売り出したほうがトータルの手取りで上回るケースは少なくありません。

片付けを業者に頼む場合は、間取りや荷物量で費用が大きく変わるため、家財・遺品の一括見積もりで処分費用を比較する方法を参考に複数社の見積もりを取りましょう。その際、無許可営業の回収業者による高額請求や不法投棄のトラブルを避けるため、悪質な不用品回収業者の見分け方にも目を通しておくと安心です。

また、相続した古い実家の売却では、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円(2024年以後の譲渡で相続人3人以上の場合は2,000万円)を控除できる空き家特例が使える可能性があります。昭和56年5月31日以前建築、相続から譲渡までの期限、耐震改修または取り壊しなどの要件が細かく定められているため、高く売れそうな物件ほど、売り方を決める前に税務署や税理士に適用可否を確認しておく価値があります。

ケース3:遠方で動けない ── 査定だけ先に受けて方針を決める

実家が飛行機の距離にある、仕事や介護で現地に通えない。そんな場合にまずおすすめしたいのが、「査定だけ先に受ける」ルートです。片付けにも売却にもまだ手を付けず、現状のまま複数の不動産会社に査定を依頼します。

このルートの利点は、判断材料が先に手に入ることです。

  • 残置物ありのままの買取ならいくらか
  • 片付けて仲介に出した場合の想定売却額はいくらか
  • その差額と、片付け費用の見積もりを比べてどちらが得か

この3つの数字が揃えば、「差額が片付け費用を大きく上回るなら片付けて仲介」「差が小さい、または現地対応が難しいなら残置物込み買取」と、合理的に決められます。一括査定サービスを使えば遠方からでも複数社の比較ができ、現地の立ち会いも最小限で済みます。なお、査定は名義変更が済んでいなくても受けられますが、買主への引き渡し(所有権移転登記)までに相続登記を済ませておく必要があり、2024年4月からは登記申請自体が義務化されています。相続登記や遺産分割を含めた全体の段取りは相続した実家を売却する流れで確認できます。

残置物の撤去費用は、価格交渉でこう扱われる

3ルートに共通して知っておきたいのが、残置物撤去費用の扱われ方です。

ルート撤去費用の扱い交渉のポイント
現状のまま買取買取価格から差し引かれる(内訳非開示のことも)差し引き額の根拠を確認し、複数社で比較する
片付けてから仲介売主が事前に実費負担複数業者の見積もりで実費を圧縮できる
残置物ありのまま仲介「残置物は売主負担で撤去」が契約条件になるのが一般的買主側が「そのままでよい」と言う場合は契約書に明記する

買取での差し引き額は、自分で片付け業者に頼んだ場合の実費より高く見積もられているケースがあります。片付けの一括見積もりで実費の相場を先に知っておけば、「撤去費用として◯万円引きます」という提示が妥当かどうかを自分で判断できます。撤去費用や買取価格の水準はいずれも2026年7月時点の傾向にもとづく目安であり、実際の金額は物件ごとに変わるため、最新の条件は必ず各社の見積もり・査定で突き合わせてください。

また、仲介で「残置物ありのまま」引き渡す合意ができた場合でも、口約束は禁物です。後日「聞いていない」というトラブルを避けるため、どの家財を残してよいかを売買契約書や覚書に具体的に記載してもらいましょう。

迷ったら「査定先行」から始めるのが失敗しにくい

3つのケースを見てきましたが、自分がどのケースに当てはまるか判断がつかない場合は、費用が発生しない「査定だけ先に受ける」ルートから始めるのが安全です。現状のままの買取額と、片付けて仲介した場合の想定額という2つの数字が出そろってから、片付けにいくらかけるかを決めても遅くありません。

順番として動かせないのは、貴重品・権利証の捜索を処分より先に行うことだけです。あとは「早さの買取」「高さの仲介」「判断材料の査定先行」という各ルートの性格を踏まえ、自分の事情に合う道を選んでください。税金や登記など制度面の細部は年度によって変わる可能性があるため、最終的な判断の前に税務署・法務局・司法書士などの専門窓口で確認することをおすすめします。

出典

残置物空き家売却買取遺品整理実家じまい
この記事を書いた人

しまいごとノート編集部

費用相場・手続き・業者選びの下調べ担当

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